チャーコールキャニスター/パージバルブ交換

2019年1月

ハンチングとの飽くなき闘い(その1)


最近ちょっとアイドリングが不安定です。
回転が上がったり下がったりする、ハンチングという現象ですが、古いW124の場合、持病みたいなものです。
原因は多岐にわたり、特定するのはとても難しいのですが、その一つがこのチャーコールキャニスターパージバルブです。

チャーコールキャニスターは、ガソリンタンク内で気化した燃料を空気中に放出せず、一旦活性炭に吸着させて、
エンジンが動いている時に、それを混合気に混ぜて燃やしてしまおうという、環境に優しい仕組みです。

それがなぜアイドリングの不安定に繋がるかというと、じつは複雑な仕掛けがあります。
アイドリング時は、吸入空気量を調整するスロットルバルブはほぼ完全に閉じています。
でもエンジンは回転しているので、ピストンの動きで、強制的に空気を吸い込もうとします。
その結果、スロットルバルブからピストンの吸気バルブの間(インテークマニホールド)には負圧という、
気圧の低い状態が生まれます。

この負圧がインジェクターという、燃料を噴射する装置から強制的に燃料を吸い出してしまい、
結果、想定より濃い混合気になってしまい、回転が不安定になってしまいます。
これを防ぐためにプレッシャーレギュレーターという、負圧によりインジェクターに供給されている燃料をガソリンタンクに返す
装置が付いていて、負圧がかかると弁が開いて燃圧が下がり、インジェクターから燃料が余分に吸い出されるのを防ぐ
様に出来ています。



写真中央の丸い物がプレッシャーレギュレーターです。黒いホースはインテークマニホールドに繋がっていて、
ここに負圧がかかるとインジェクターの燃圧を下げます。

チャーコールキャニスター内の気化燃料をインテークマニホールドに戻すのにも、負圧が利用されています。
チャーコールキャニスターにかかる負圧を調整するのがパージバルブの役割です。

チャーコールキャニスターが傷んでくると、活性炭が気化燃料と一緒にパージバルブに吸い込まれたりします。
その結果パージバルブが傷んで閉まらなくなり、混合気が濃くなってしまったり、活性炭が混ざってしまったり
して、 アイドリングに良いことはありません。
また、 チャーコールキャニスターに負圧が逃げてしまい全体の負圧が下がり、インジェクターの燃圧調整の
仕組みが うまく働かず、アイドリングが不安定になるということもあります。

エンジンの回転が上がると負圧は無くなり、上記現象は起こらなくなります。

パージバルブが傷んでいるか調査するのに、アイドリング時に触って脈動しているかを確認するのと、
それがハンチングに影響しているかは、チャーコールキャニスターからパージバルブに繋がるパイプを
抜き、パージバルブの吸気穴を指で塞いでアイドリングが安定するかで分かります。

私の場合、 調査しようしてとパージバルブへの配管をを外してみたら、パージバルブから活性炭が出てきました。
こうなると、チャーコールキャニスターもパージバルブも交換です。

でも私の場合は、パイプを指で塞いでもアイドリングの不安定は変わらなかったので、これらがハンチングの
原因ではなさそうです。


チャーコールキャニスター(124-470-0359) ¥13,700 (純正・税抜き)


中身はこんな感じです。


3つの口が付いています。一つは気化燃料の入り口、一つはパージバルブへ、
もう一つは処理しきれなかった気化燃料を放出するためのものです。


パージバルブ(000-470-2193) ¥18,300 (純正・税抜き)


中身はこんな感じです。

さて、交換作業です。

チャコールキャニスターは左前タイヤハウス後ろ側に付いていますので、
左前タイヤをジャッキアップして外します。
ジャッキアップする前に、ホイールボルトを緩めるのを忘れずに。


次に、タイヤハウス内の樹脂製カバーを外します。




カバーは、いくつかのボルトナットで止まっていますので、
順次外していきます。


車体の下のこのボルトも外します。


カバーが外れました。
カバーの中は雨水が入り込むため、枯葉やゴミがたまっています。


カバーを外した左側前輪タイヤハウス内です。
枯葉が入り込んでいますね。
排水口がありますが、これが枯葉やゴミで詰まると水が溜まり、
サビの原因になりますので、たまには外して掃除したいところ
ですね。

チャコールキャニスターはこんなところに付いています。


このゴムのパイプはカバーから先っぽが出ていたものです。
ガラス下の雨どいの水は、ここからタイヤハウス内に排出されます。
これもたまには詰まりをチェックしましょう。


チャーコールキャニスターは配管が付いたまま上に引き上げると
外れます。


パイプの抜け防止クランプをラジオペンチ等で広げて前後の
パイプを抜きます。
真ん中のパイプはゴムの継ぎ手の先のパイプを抜きました。


新旧比較です。
新しい方は金属のケースですが、古い方は樹脂で出来ています。
車体に止めるフックが多方向に付いているのは、他の車種でも共通に使っている部品
なのでしょうね。


新しいチャーコールキャニスターを取り付けます。


真ん中のパイプが短くて繋ぎにくいです。
エンジンルーム内の配管を調整して、パイプの長さに余裕を作って繋ぎました。


タイヤハウス内の樹脂カバーを戻し、続いてパージバルブです。

見えているので簡単です。
チャーコールキャニスターからの配管と、インテークマニホールドへの配管、
電源ハーネスを外し、交換します。


チャーコールキャニスターからのパイプがちょっと短いです。
熱で縮んだのでしょうか。
これもそのうち交換します。

2時間ほどで、交換完了です。
分かってはいたのですが、ハンチングには無関係でした…。
でも、やらなければいけないメンテナンスだったので、まあ良いでしょう。